2013年12月6日金曜日

サンテミリオン特集

11月はサンテミリオン特集でした。メルロー主体のサンテミリオンはやさしい味わいと滑らかなタンニン、華やかな香りなど、これまで学習してきた左岸との違いをはっきりと感じるクラスでした。2007 モンブスケ サンテミリオン グランクリュは全体的はボディの構成がしっかりしていて味わいやタンニンが長く続くフィニッシュへと印象的。2009
 シャトー グラン・メイヌ サンテミリオン グランクリュクラッセはブルーベリーなどの青黒系のベリーの味わいに黒鉛ややわらかい鉄の感じもくわわった。2009シャトー リンソランス サンテミリオン グランクリュはメルロー100%らしい滑らかさが、カベルネフランの混じった上の二つとは異なる「しなやかさ」が満喫できた。最後に2007 シャトー オーバタイエを飲み比べると明らかにこのポイヤックには、カベルネソービニヨンのハーブやミント系の香りが加わり、右岸と左岸の差を比較しました。 

リリー会は午後7時からなので、お仕事帰りの空腹にワインだけは不健康なので、受講生が当番で「つまみ」を用意します。「食卓にワインを」のコンセプトの元、食べ物やワインとのペアリングへの関心も加わりワインにまつわる食文化の向上にもつとめています。

サシャーニュ特集

サシャーニュの赤、白を味わいました。サシャーニュらしさといえば、やはり2011 フィリップ・コラン サシャーニュ・モンラッシュブランが梨や王林りんごの香りなど果実味の厚さやそれを支えるしっかりしたミネラル感でおいしい白を確認しました。2009 ドメーヌ ヴァンサンジュ サシャーニュモンラッシュ ルージュ プレミエクリュ モルジョがクランベリーやチェリーの豊かな香りとなめらかなタンニンで飲みごたえあり。中にそっとしのばせたカリフォルニアの2010カレラライアンはその他のブルゴーニュ赤と選別しにくいほどのミネラル感が豊かでした。ゆっくり考えれと果実の濃さで違いがわかりますが、クラスでの飲み比べの違いがとても役立ったようです。最近はテーマの特集の中に、その地域以外の近いものをや全く違うものを加えて、ブラインドによる確認練習・ミニドリルをして結果に驚喜と落胆が混じって楽しい時間となっています。

2013年10月13日日曜日

カリフォルニア特集

今回は1999 マルティネリ ジンファンデル ジョゼッペ&ルイーザ ロシアンリヴァーが14年熟成したものを飲んだ。

これは私がアメリカでは珍しい舗装が少し切れた畑の脇にあるマルチネリを訪ねて一本だけ買ったものを、そのまま家のセラーで静かに寝かせたもので開栓を楽しみにしていたものだ。

リッジのポールドレーパーから、それこそ20年もののジンを提供されて、良質のものの熟成はある程度確信していたが、これも期待を裏切らないものでした。コルクもしっかりとしたままで、色合いには熟成を感じさせる透明感が加わっていたものの、たぶん、リリース時にはノックアウトされてしまったかもしれないアルコールが果実味や樽になじみ嫌味のない美しい熟成でした。古いブルゴーニュではないかと思わせるほどでした。

2011 カレラのマウントハーラン シャルドネはまろやかな白桃のようなニュアンスが豊富な酸に支えられ、ミネラル感もたっぷりした粘着性のあるワインで香りや味わいに単独で味わっても満足感が得られる。2010シュグのシャルドネは冷涼な場所のブドウのもつ豊かな酸が気持ち良い切れの良さを伴って青りんごのような味わいをもち食べ物に合わせたい。

2006 ロバートモンダヴィ オークヴィル カベルネソービニヨンはヴァレーのブドウのエレガントさを持ち、滑らかさと果実味と酸のバランスの良さ、タンニンの細かさで伝統的なナパヴァレーの味わい。2007スノーデン ザ・ランチは力強く、今後の熟成の期待が更に膨らむ。しっかりとしたアタックといくつもの黒いベリー類、ブラックベリー、カシスなどの香りにナツメグやシナモンのようなスパイスが加わりボルドー品種でブレンドされたワインは細かくしっかりしたタンニンを伴って長いフィニッシュへと続き格付けボルドーに引けをとらない風格。



モンダヴィのようなヴァレーのカベルネに比べるタンバーク・ヒルはマヤカマス山脈の高度な斜面にあるフィリップ・トンギのワインでタイトな印象は今の人気ラインともいえる。マルチネリと比べる1996 ハートフォードコート ジンファンデル ロシアンリヴァーは更に長い熟成を経て黒いベリーがドライプルーンのようになり、酸を保持したままで夏の終わりの胃袋にはとてもやさしくおいしいワインでした。これらの古酒はそれぞれに思い入れをもってワイナリーで買って、日本まで持ち帰り、家のセラーで長く寝かせたもので劣化がなく長く費やした時間を堪能できました。家で大切に熟成させたワインが期待を裏切らず仲間と楽しめるのはワインにとっても幸せなことでしょう。



2013年7月21日日曜日

オーストラリア特集

猛暑の始まった7月にオーストラリア赤は挑戦的であったが、幸いそれほどの猛暑の日にあたらず無事に楽しむことができました。

今回は赤5本全部がシラーズということで、久しぶりにゲーム的なブラインドを行いました。中に2007シャプティエのサンジョセフ レ・グラニも混ざって、ローヌのシラーを探し出すというおまけもありました。

ブラインドに慣れていない新入生もいるので、今回は値段が3000円から11000円までと価格帯にも幅ばあったので、単純に高いと思われるワインと、ローヌを探し出すというゲーム。

オーストラリアを代表する2008ヘンチキのエーデルストーン、2008トレブルックのザ・ガスクはさすがにほとんどの方が正解しました。どちらも強いアタックで食べごろのプルーンを感じさせるフルーツの濃縮感がいっぱい。口に含むとヘンチキの方はまろやかな舌触りに木の根のようなスパイスがあり、しっかりした酸味とやわらかなタンニンが交じって長いアフター。古木に共通する果実ひとつぶづつの完成度がつくりだす一体感のあるワイン。トレブルックの方は近代的な醸造法が想像できる個性のしっかりしたワインで、もう少し熟成させたらヘンチキのまろやかさに近くなるような感じがした。フルーツもプルーンに野イチゴの野性味も加わりしっかりした酸やタンニンとともに現代的で特に文句のつけどころのない仕上がり。同じヴィンテジで京都と東京のよう。

2009ショー・アンド・スミスはたっぷりのフルーツ感に酸味と多くのタンニンが加わり中肉中背の若武者といった感じ。2006ロックフォード・バスケットプレスは他のワインと比べて明らかに熟成が進んでオレンジ色のエッジと果実が溶け込んで、樽感と交わり、それ以外が数年若い力を発揮している中で落ち着いた味わいであったが多くの若者の仲間で少し浮いてしまった初老で分がわるかったかもしれない。もっとも、これが親しみを感じて一番と挙げた人もいたので面目回復。

2007シャプティエ レ・グラニはオーストラリアの仲間の中で、色合いは他と良く似た深いマゼンタ色で、ワイルドベリーのような野性的な果実味にスパイス、そして全体の細身を支えるしっかりした酸と少な目のタンニンが、区別感をだしていたが、オーストラリアの良い仲間に交じって面白い体験でした。

2013年6月25日火曜日

ドイツ、オーストリア特集

梅雨に入り胃腸にやさしい白、オーストリア、ドイツ、ハンガリー特集でした。

オーストリアのツァーヘル・ゲミシュター・サッツ・ゼクトはこの時期の若梅のような香りに爽やかな酸とミネラル感で雨のうっとうしさを払拭しました。続いてはモーゼル、ミューレンホフの2011 ヴェレナー・ゾンネンウーア・リースリング・カビネットでやさしい甘さがモーゼルらしい。続いてラインガウのクロスター・エーバーバッハのシュタインベルガー リースリングはミネラル、長く続く切れ味のよい酸、花の香りなどラインガウらしさいっぱい。どちらもアルコール度が10度前後でうっとうしい季節の弱った胃にも抵抗ない飲み心地。ドイツの赤は2009アスマンホイザー・ヘレンベルグ・シュペートブルグンダー・シュペットレーゼ。若々しく軽やかな赤。やや力強さや果実味に欠けるが北緯50度あたりの緯度から考えると当然でもある。全体的な大きさはないものの赤ベリー系の小ざっぱりした印象で特に欠点でもない。ポテトグラタンに相性ぴったりだった。

オーストリアは2010エメリッヒ・クノールのグリューナー・フェルトリナー・シュッド・スマラクト。一般的いなグリューナーフェルトリナーが緑の爽やかさが特徴であるのに、このワインは温かみのあるまろやかな厚みに西洋ナシのような香りにとげとげしさのないしっかりとした酸が長く続く逸品でゆっくりとワインだけでも満喫できる。

ハンガリーからは2010トカイ フルミントと2005トカイ アスー6プットニュス。フルミントはさっぱりとした酸にやや苦味を含んだ後味で甲州のような印象。デザートワインはオレンジがかった色合いで、ピールオレンジやアプリコットの味がたっぷりの酸を伴った甘さで幸せな気分に浸してくれました。

2013年5月17日金曜日

南ローヌ、プロファンス特集

シャトーヌフ・デュ・パプでは2008ドメーヌ・ボーカステルがローヌらしい。作り手の力や南フランスの風土を感じさせるタペストリーのような滑らかさで秀逸でした。また、彼らの白はコート・ド・ローヌACながら、丸みとフレッシュさとを融合させ、アロマティックすぎずにとても美味しく良い作り手のローヌ白を再認識させられた。 2009ドメーヌ・タンピエ ら・トルティーヌはバンドールを代表すムールヴェードルの日差しの暖かみと滑らかなタンニンが秘めた酸やパワーを持ちながら自然でやさしい味わい。 

プロヴァンスではドメーヌ・トレヴァロンが洗練された新世界ワインのようでありながら、しつこさのない洗練度でいつもながら秀逸品。

ドメーヌ・クロ・マリの2008 レ・メテリー・デュ・クロはヴィオ臭で好みが別れたが、まだ飲むには早すぎのような強さが感じられ熟成後に飲んでみたい。野生ブドウやミネラル感などがワイルドでした。

2013年4月6日土曜日

アルザス、南西特集

 アルザス リースリング (2010 ドメーヌ・ワインバック グランクリュ シュロスベルグ)をチリとドイツのリースリングと飲み比べしました。生産地、価格帯、スタイルなどが非常に明確に異なり、それぞれが個性的でした。シュロスベルグは選果された香り高い果実や複雑な厚みがエレガントで長くつづく酸味とともに、一口でその品格がわかる美味しいワインです。ドイツはライガウの2011ロバート・ヴァイル カビネットでもやや甘口のニュアンス、チリの 2010メリ リースリングはフレッシュさが特徴であり料理や使用目的がそれぞれ理解されました。

カオール(2009シャトー・デュ・セードル)、ベルジュラック(2002 シャトー・テュール・デ・ジョンドル ムーラン・デ・ダーム)はソフトなタンニをもつと黒い果実や木の根のような味わいでカジュアルな雰囲気を持ちつつもオールドワールド特有の古典的な味わいで面白いものでした。 シャトー・ド・クーレーヌの2009シノンは有機臭がたっぷりで好みがわかれるところでした。

最後のお楽しみは2006 ソーシアックで貴腐香りはかすかで、遅摘みの爽やかな甘さとほどよい酸味で一息つく場面でした。

2013年3月1日金曜日

プレミアムチリ

ボルドースタイルのプレミアムチリワインを、ボルドーワインとブラインドで当ててみる試みでした。5本のうちの2本がボルドー、2本がチリを代表する2010 アルマビーヴァ、そしてチリのガレージプレミアムである2008 ラフケン、そして一般的なチリらしい2本である2011カミノレアル のカルメネール、カベルネの2010 クロアンティーノがまじりました。ボルドーは2010 ダマイヤック、2004 ペイラボです。皆さんがとても真剣に利き比べをして静かな15分でした。ヴィンテジの違いでペイラボはほとんどの方が色だけで正解しました。その後はヴィンテジがほぼ同一なので、個人の好みも加わり、やや混戦でした。

全部で6本を仕分けする?というかなり難しいお題であり、また、チリのなかでは値段が数倍も違うワインはどこが違うのか、エレガンスとは何かなど、また、新しいワインと熟成ワインの違い、新世界と旧世界のスタイルの違いなど、注目点が多く、しばらくぶりのブラインドで、しかも数が多いので大変でしたが、とても勉強になったと大好評でした。

ブラインドの後でボトルを公表してから、さらに飲み直すことで、解説が理解できたという面もあり、知識と実践が納得できた場面も多く、またこのような機会を少しづつ増やしたいと思いました。

アルマヴィーヴァはなめらかでやさしいエレガンスとアフターの長さで好みが多く、ラフケンは果実味、力強さ、しっかりしたタンニンや酸、そしてちょっとキャラメルのニュアンスもあり、高級ボルドーのような感触でとても良かった。ダマイヤックはまだ早すぎて樽やワインのコンポーネントが落ち着いてなくもう少しだけ時間が欲しい。ボルドーとプレミアムチリでは、土や灌木、木の根などののニュアンスがボルドーに多く、チリとボルドーの違いが出ていた。